ついに北区にも民泊の上乗せ条例 東京23区すべてで上乗せ規制がそろいました

北区の民泊(住宅宿泊事業)に、区独自のルールを上乗せする条例ができました。10月7日の区議会本会議で可決され、その日のうちに公布されています。

北区はこれまで条例を持たず、国のルールのままで運用してきた区でした。家主が住んでいない物件でも、住宅地で年180日まで営業できたわけです。同じように条例のなかった墨田区・葛飾区・江戸川区も2026年に入って相次いで条例を施行し、残っていたのは北区だけでした。今回の条例で、東京23区すべてに上乗せの規制がそろったことになります。

私はこの夏から、北区で新法民泊を始めるお客様の届出をお手伝いしています。9月には北区の保健所へ事前相談に行き、条例の見通しも含めて担当の方からお話を聞いてきました。そのときのことも交えながら、条例の中身と、これから届出をする方・すでに営業している方それぞれが気をつけたい点をまとめます。

目次

いちばん影響が大きいのは「区域の制限」

条例の第16条で、家主不在型の民泊を営業できない区域が決まりました。期間は「全ての期間」、つまり一年中です。対象になる用途地域は次のとおりです。

  • 第一種・第二種低層住居専用地域
  • 第一種・第二種中高層住居専用地域
  • 第一種・第二種住居地域、準住居地域
  • 田園住居地域

これに加えて、地区計画でホテルや旅館の建築が制限されている区域も入ります。

用途地域の名前に「住居」が付くところはほぼ全部、と考えてよいと思います。家主不在型で営業できるのは、近隣商業地域や商業地域、準工業地域などに限られます。

敷地が制限区域とそれ以外にまたがっている場合は、敷地の半分を超える部分がどちらにあるかで決まります。駅前の商業地域のすぐ裏手、といった物件は境目にかかっていることがあるので、用途地域図で敷地の線まで確かめてください。

一方で、家主が住みながら部屋を貸す「家主居住型」と、家主が隣の住宅に住んでいる「隣接居住不在型」は、この制限の対象外です。

区域の制限が始まるのは2027年1月7日です。その前日までに届出を済ませた住宅には、制限が適用されません(付則5項)。住居系の地域で家主不在型を考えている方にとっては、2027年1月6日までに届出を終えられるかどうかが分かれ目になります。

施行日は2段階です

日付始まること
2026年11月7日事前周知(説明会2回)、届出時の添付書類、衛生の確保、設備の設置、本人確認、苦情への対応、区指定の標識、違反した事業者の公表
2027年1月7日住居系の用途地域で家主不在型の営業を制限

事前周知の新しいルールも11月7日から動き出します。届出の14日前までに周知を終える決まりなので、11月7日に周知を始めた人が届出できるのは、早くても2週間後の11月下旬です。11月7日以降に民泊を始める方は、新しい手順で周知を済ませてから届出をする、と考えておいてください。

届出の前に、説明会を2回開くことが必須になります

第8条で、民泊を始める前の近隣への周知が条例上の義務になりました。届出の14日前までに、事業者の名前と緊急連絡先、住宅の所在地、営業を始める日、運営の形(家主居住型か不在型か)、管理を委託するならその管理業者を知らせます。

周知の方法は区の規則で決めることになっていて、その規則はまだ公布されていません(10月21日時点)。ただ、区が公表した資料では、近隣住民や町会などへの説明会を2回以上開くことが求められています。9月の事前相談でも、保健所の担当の方から、ポスティングだけで済ませるのは難しくなると聞いていました。今は「敷地から10メートル以内・届出の1週間前まで・ポスティング可」で足りているので、手間はかなり増えます。

すでに営業している方は、防犯カメラの設置が努力義務に

すでに届出をして営業している方には、防犯カメラの設置が努力義務としてかかります。条例の第11条で、民泊の住宅には区の規則で定める設備を付けることが義務になりましたが、11月7日より前に届出をした住宅は、2027年4月6日までは「設置するよう努める」という努力義務に読み替えられます(付則4項)。

区の資料では、出入りの状況がわかる防犯カメラを付けることになっています。台数や映す範囲、録画を何日残すかは、規則が出てから確認が必要です。参考までに、北区の旅館業の基準では、出入口を映すネットワークカメラで録画を72時間以上残すことになっています。

巡回パトロールと事業者名の公表

区の資料によると、区の職員や専門員による巡回と立入検査で、不適切な営業の監視を強めるそうです。区長のSNSでは、元警察官が巡回にあたると紹介されていました。

条例の第18条では、国の業務改善命令や業務停止命令を受けた事業者について、区が名前などを公表できることになりました(11月7日施行)。区の資料でも、改善命令に従わない事業者には、名前の公表や業務停止・取消しなどで厳しく対応するとしています。

規則が出る前に、今やっておけること

条例は枠組みで、細かい中身の多くは区の規則に任されています。規則が出れば、周知の方法や設備の基準が具体的に決まります。それを待たずに確かめておきたいことを、立場ごとに書いておきます。

これから北区で家主不在型を始めたい方は、まず物件の用途地域を確認してください。住居系の地域なら、2027年1月6日までに届出を終えることが前提になります。届出には消防の手続きや図面の準備があるので、物件がまだ決まっていない段階だと、残された時間はあまり長くありません。11月7日以降は、説明会を含む新しい周知の手順を踏んでから届出をすることになるので、その日数も見込んでおいてください。

あわせて、区の資料では、ふた付きのゴミ箱と防犯カメラの設置、トラブルや苦情に30分以内で現場へ駆けつけられる体制も求められています。30分以内の駆けつけは、物件の近くで動ける人を確保しておかないと回りません。管理会社が遠くにある場合は、体制から考え直す必要があります。

すでに営業している方は、2027年4月までに防犯カメラを付ける前提で、規則の公布を待ちながら準備を進めておくと安心です。

私自身、大田区で民泊を3施設運営しています。大田区も規制が年々厳しくなっていて、ルールが変わる前後の慌ただしさは身をもって知っています。北区の物件で届出が間に合うか、自分の物件が制限区域に入るか、といったご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。規則が公布されたら、この記事も書き足します。

参考:東京都北区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例(公布文)/北区作成資料「東京都北区 民泊条例が公布されました」/北区長 やまだ加奈子氏のX投稿(2026年10月16日)

▶ 民泊・旅館業許可申請代行の詳細(料金・流れ・FAQ)はこちら


この記事を書いた人

行政書士 若杉 栄一(東京都行政書士会 大田支部・登録番号 第25083846号)
東京都庁で25年間、許認可・都市づくり行政に従事。現在は自らも大田区で特区民泊を運営するオーナー行政書士。プロフィールの詳細はこちら

この記事が役に立ったらご紹介ください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次